時効の援用
時効の援用
先ずは時効の種類について、時効には、「取得時効」と「消滅時効」とがあります。
- 「取得時効」とは、法律上定められた一定の期間が経過すると、時効が成立し、占有物の所有権を取得する(民法162条)ことを言います。
例えば、10年や20年が経過すると時効が成立することになります。
- 「消滅時効」とは、法律上定められた一定の期間が経過すると、時効が成立し、債権は消滅する(民法167条)ことを言います。
例えば、5年や10年が経過すると時効が成立することになります。
何れのケースでも、時効が成立したのであれば、相手に「時効になりました」等と伝える必要があります。
相手へ伝えることによって、時効が成立するからです。
これを時効の援用と言います。
時効の援用の手続方法
1. 時効の援用の通知
時効の援用は、債権者へ伝えなければその効果は生じません。一般的に事項の援用の通知は確定日付ある証書によって行います。
客観的事実により、時効の完成が明らかであったとしても、裁判所はそれだけで時効にもとづく裁判をすることはできません。
当事者が時効の利益を受ける意思を表明することが必要であり、これを時効の援用と呼びます(民法第145条)。
これにより、債権者に対して、債務を免れたこと(対抗)を主張することができることになります。
2. 確定日付
時効の援用の通知に使われるのは、郵便局の局印です。
確定日付とは、文書記載の年月日について、法律上完全な証拠力をもつ日付のことをいいます。
具体的には、郵便局の局印等です。
確定日付は何故必要?
それは、時効の援用の日にちが、権利行使かのうな期間内にあるかを判断するためです。
すなわち、確定日付により、権利行使可能期間内か否かの判断を容易にすることとしたわけです。
逆に、こうすることで、債権者が日付を遡らせることができなくなり、不正が働けなくなるのです。
3. 送付方法
当事者(債務者)から、債権者に対する配達証明付の内容証明郵便で発送。
内容証明郵便は、「いつ、どんな内容の郵便が郵送されたか」を、郵便局(日本郵便株式会社)が証明してくれるという郵便サービスです。
普通郵便で送ったのでは、配達証明付きで郵送することで書類が到達したことは証明できても、到達した文書の内容が証明できないため、証拠になりません。
これに対して、配達証明付き内容証明郵便であれば、文書の到達と、到達した文書の内容が時効援用通知であるということも両方証明できるため、裁判上の証拠とすることができます。
援用通知には、債務を特定できる情報(たとえば、契約番号や契約年月日など)を記載して、その債務に関して消滅時効の援用をするというような内容を記載します。
実務的によく行われるのは、当事者(債務者)から、債権者に対して配達証明付の内容証明郵便で、時効の援用の通知書を発送する方法です。